しばらく自宅での静養を続け、少し元気を取り戻してきた頃、私がうつになってしまった本当の原因は何なんだろう?と改めて疑問をもちはじめました。あれこれ考えをめぐらせるうち、「もしかしてそれは心の問題だけではないのかも…」と、ふと思いました。
それは、私がもともと抱えていた体の問題があったからです。
私の体は、両足とも先天性股関節脱臼という生まれつきの病気を抱えています。外科手術で股関節の欠損は完治しましたが、腰や背中に不自然な力を入れることが長年のクセになっていて、ゆがんだ姿勢でいないと、体がどうも落ち着かないのです。
バランスの悪い姿勢から受ける体のダメージは、年齢を重ねるごとに蓄積され、今は頭から腰まで一本の固い鉄棒が入ったような不快感がずっと続いています。そういえば、通勤電車で具合が悪くなった時にも、頭痛だけでなく腰や首筋もひどく痛かった気がします。
そんな折、書店で偶然、「心のトラブルは骨格バランスの乱れを正すことで解決する」と記された単行本の一節に心をひかれ、心療内科ではなく、もしかして整体で少しでも体調を回復できるかもしれないと感じ、アポイントを取ってみました。予約電話をかけた母は、現在の私の状態も説明していたようでした。
ほとんどの接骨院では、まず患者本人が問診表を書いた上で施術者が症状を確認し、治療方針を決めるというプロセスで治療を行います。いわば患者自身が「ここを治療してください」とハッキリ言わないと治療が始まらないということです。
思い切って接骨院の門を叩いてみたものの、他人と話をすることが難しい心の状態では、ちょっといやだな…と正直思っていました。

ところが、この接骨院で行われていた「元返し療法」は、ただ骨格や筋肉を調整するだけでなく、精神と肉体のバランスを総合的に整え、本来の健康な状態を取り戻すというものでした。
私のつたない言葉で表現してみると、さながら「心とカラダを一緒に癒すカウンセリング」のような印象。
いくつかの検査を受けてみると、やはり長年の頑固なゆがみが不調の一因であることは間違いない様子。私の心の状態にもきちんと配慮してくれているのがわかりました。そこで、無理をせずあせらず、気長に治療していくことになりました。
その日、初めて受けた仙骨の矯正と首へのマッサージで、鎮痛剤でもダメだった頭痛がスーッと気持ちよく引きました。母は「あなたの自然な笑顔を見たのは本当に久しぶりだわ・・・」と、しみじみと喜んでいました(心配かけてごめんなさい、お母さん)。