最近の研究で、脳の働きと発病との関係が明らかになってきました。中でも関係が深いとされているのが、セロトニンやノルアドレナリンといった「神経伝達物質」の働きです。
神経細胞の末端はシナプスといわれます。脳が発信した情報は神経伝達物質でシナプス同士をつなぎながら体のすみずみまで伝えられます。また、体のいろいろな場所で受けた刺激を脳まで伝えるのも、シナプスと神経伝達物質の連携がなせるワザなのです。
ところが、神経伝達物質が十分に放出されなかったり、シナプスの受け皿にうまく取り込まれなかったりすると、情報がきちんと伝わらなくなります。うつを発症している患者さんの脳内は、この神経伝達物質が足りなかったり機能不全を起こしているため、睡眠や摂食抑制、意欲の低下をもたらしているのではないかと考えられています。
うつを発病しやすい性格は確かにあるものの、決してそれだけが発症の主因ではないということはよく知っておく必要があります。なりやすい性格というのはあくまで原因の一つと考え、こだわりすぎない方がよいと思います。
うつを発症した患者が過去にいた、あるいは現在いる家族は、そうでない家族より発症率が高いといわれ、遺伝的な「なりやすさ」は高いということが知られています。
しかし、うつは特定の遺伝子だけで発症するわけではなく、複数の遺伝子に遺伝子以外の原因が重なることで起こりやすくなるそうです。
いろいろな側面から研究した結果、専門家も遺伝性より生活環境などの要因を重視するようになりつつあるようです。